My Opinion

[2003年前半]

2003年5月24日(土)

[小泉改革がもたらす、殺伐とした社会]


 「いったい何のための改革なんだ?」、今日の朝日新聞朝刊(1)を見ながら、思わず憤慨した。連合[1]のちょっと変わったCMが放送されているが、いま国会で労働基準法改正についての審議が進んでいる。議論されている論点の一つとして、「使用者は労働者を解雇できる、ただし客観的に合理的な理由を欠く場合、権利の乱用として無効」という、雇用者側にとっては誠に都合のよい解雇の "ルール" なるものを法に明記するかが争点となっている。記事によるとこのルールについて、小泉総理は「解雇しやすくすれば、企業はもっと人を雇える」などと主張しているという。解雇しやすくすることで企業も気軽に人を雇うことができ、その結果、生産性の低い産業から高い産業に雇用の流動化が起こり日本の経済が活性化される、ということなんだろう。

怒りをとおり越して、ため息が出る。小泉総理といえば、すこし前に青木建設が倒産したとき、そこで黙々と働いていた人々が倒産で受ける"痛み"に思いをはせることもなく、眉ひとつ動かさずに「改革が着実に進んでいる証拠だ」と平然と言ってのけたものだ。そして今回のこの答弁。いったいこの人は、どこまでノー天気なんだろう。

こんな解雇ルールが法に盛り込まれ、雇用の流動化が起こるとどうなるのか。94年から日本航空、全日空、日本エアシステムの3社は、客室乗務員の新規雇用を契約社員とし、いちはやく"雇用の流動化"を実践しているが、その現状をみる限り、小泉改革がもたらす未来は、暗いを言わざるを得ない。この3社による契約内容は、1年ごとの契約更新、最長3年までで、3年目の査定で正社員として雇うかどうかが判断されるというもの。そのため、現場で働く人たちからは、契約更新されるかどうか、3年後に正社員になれるかどうかが不安で「契約更新の際、査定にひびくと考えて病気でも休めずにいます」「なにか質問したりリクエストするにも、こんなことを言ったらクビになるのではないか、三年後正社員にしてもらえないのではないか、と考えてビクビクして何も言えません」といった、悲鳴にちかい声があがっている(2)[2]。

そもそも小泉総理が呪文のように唱える "構造改革" が成功すればどうなるのか。2002年1月に閣議決定された「構造改革と経済財政の中期展望」[3]のなかに、こんな部分がある。

 

構造改革に継続的に取り組み、経済社会の仕組みが全体として変化する段階に到れば、その効果は峠を越えたように加速的に現れる。更に、デフレが克服されることにより、経済の好循環が回復する。これらの結果、消費や投資が安定的に拡大し、2004年度以降は実質1.5%程度あるいはそれ以上、名目2.5%程度あるいはそれ以上の民間需要主導の着実な成長が見込まれる。

関連リンク[3]より抜粋

 

毎度のごとく、具体的な内容ゼロのスローガン的な文章だが、しかしそれ以上に改革の目標を経済成長にもってきていること自体が、もはや時代錯誤ではないか。

そもそも本当の意味での改革、人々がほんとうに求めている改革というのは、「すべての人々が安心して生活できる社会をつくる」ということであって、経済成長がどうだのデフレ克服がどうだのという話は、二の次でしかないはずだ。

小泉改革がもたらす社会というのは、「国全体でみると、経済成長率はプラスになった。しかし過労死と自殺者は後をたたず、進学に有利な有名私立学校を出た若者以外は将来に希望を持てず、貧富の格差がアメリカ並みに進み、収入減と長時間労働のために小子化に歯止めがかからず、社会不安の増大に対処するため社会監視が強化され、やり場をなくした怒りが弱者や外国人への差別感情として噴出、社会は分断され、思いやりの精神が人々から失われる」、といった、殺伐とした社会ではないか。

 

【参考文献】

 (1)  朝日新聞 (2003.5.24付朝刊)

 (2) 『豊かさの条件』 (暉峻 淑子/岩波新書)

 

【関連リンク】

 [1]  連合 日本労働組合総連合会

          http://www.jtuc-rengo.or.jp/

 

 [2]  日本航空客室乗務員組合

          http://www.bekkoame.ne.jp/~jcau/indexj.htm

 

 [3]  構造改革と経済財政の中期展望

          http://www.kantei.go.jp/jp/kakugikettei/2002/0125tenbou.html

 

2003年5月22日(木)

[知られざる映画 "Lagaan" −インド映画の底力を見た!−]


 今年のはじめ、仕事の関係でスイスに出張した折りに "Lagaan" [1]という映画のDVDを買ってきました。この映画、日本ではほとんど知られていませんが、2002年のアカデミー賞・外国語映画賞にノミネートしたものの、惜しくも落選したインド映画で、ヨーロッパ各国でも上映されたとのことでした。

インド映画というと、数年前の "ムトゥ" の印象が強烈だったせいか、「歌って踊るノー天気なバカ映画」みたいに思われていますが、とんでもない! "Lagaan" は、インド映画のとてつもない底力をまざまざと見せつけるような、もうとにかくスゴイ映画です。

舞台は1893年、西インドのとある村。干ばつつづきの農民に対して、その地方を統治していた大英帝国は、きびしく地税(Lagaan)を取りたてる。苦悩する農民たち。そんな彼らにイギリス人税務官は、ある提案をする。

 

「それほど税が苦しいならば、我々とクリケットで試合をしないか。もしおまえたちが勝てば、税は免除してやろう。そのかわりもし負ければ・・・税は3倍だ!」

 

やがて農民たちは立ち上がる。税のためだけでなく、抑圧されてきた自分たちの自由を取り戻すために

最後の最後まで、はらはらどきどきさせられるエンターテイメント映画であるだけでなく、人としての尊厳を高らかに歌いあげる、一大叙事詩を思わせる素晴らしい映画で、感動で涙が止まりませんでした。

 

この映画がアカデミー賞を取れなかったのが信じられない!

ps.
最近この映画、日本語字幕がついたビデオとDVDが相次いで販売されたみたいです。(amazon.co.jpにありました)

 

【関連リンク】

 [1]  "Lagaan" Official page  (英語)

          http://www.lagaan.com/

 

 [2]  "Lagaan" 映画評

          http://www.kh.rim.or.jp/~bergamo/lagaan/lagaan.htm

 

 [3]  "Lagaan" 熱い映画評

          http://www5d.biglobe.ne.jp/~nayutaya/Lagaan.htm

 

 [4]  日印ポータルサイト

          http://www.indo.to

 

2003年5月7日(水)

[北朝鮮 拉致問題に群がる怪しい面々]


 北朝鮮による拉致問題をめぐって、どうも被害者家族の方たちのまわりに怪しげな面々が集まってきているように見える。たまたま「救う会」の協議会役員を見て、そう思った[1]。

 
会長 佐藤勝巳(現代コリア研究所所長)
会長代行 小島晴則(「救う会」新潟会長)
常任副会長 西岡 力(東京基督教大学教授)
副会長 島田洋一(福井県立大学教授)
副会長 黒坂 真(大阪経済大学助教授)
事務局長 平田隆太郎(常勤)
事務局次長 福井義高(青山学院大学助教授)

 

会長の佐藤勝巳氏は「東京裁判終決50周年特別記念企画/新・教科書が教えない歴史観」[2]などに講師として参加し、最近では「戦争を恐れてはならない。長期的には我が国が核ミサイルを持つこと。要するに、核に対する防御には相互抑止力しかない」[3]などと述べるなど、極端な発言が多い人物である。

また常任副会長の西岡力氏といえば、あの自由主義史観研究会の藤岡信勝氏らとともに「日本政策研究センター」なるゴリゴリの保守団体[4]に所属(注1)し、「「従軍慰安婦」論は破綻した」(著書のタイトル)などと主張する人物である(注2)。

こうした人たちが率いるせいか、被害者家族会からも過激な発言が相次いでいる。たとえば家族会事務局長の蓮池透氏が「そろそろ制裁をちらつかせて強い態度を見せるべきです。(中略)最悪、戦争状態になっても仕方ないと覚悟はできています」と語ったり、同事務局長の増元照明氏に至っては金正日政権の崩壊こそ拉致問題解決への早道といった極端な主張をはじめている[5]。

 

横田夫妻が長年続けてこられた、本来の拉致問題解決に向けての活動が、なにやら怪しげで危なっかしい政治運動に変質してきているように思えて、ちょっと心配である。

 

(注1)

少なくとも97年の時点では所属していることを確認できたが、それ以降については不明。それよりもなによりも、自由主義史観研究会のまわりには、この団体をはじめ、よくわからないグループが多く、所属している人物も複数にまたがっていたり、出入りがあったりと、とにかく複雑怪奇。たとえていえば、「モーニング娘。」を中心に、「黄色5」とか「カントリー娘」とか似たり寄ったりのグループがあって、ゴチャゴチャとメンバーが出入りしているようなもの.....か?

 

(注2)

この本は、日本政策研究センターから出版され、同センターHPの「書籍ブックレットinfo」と題されているページ内で次のように紹介されている。

すべての中学校歴史教科書に掲載された「従軍慰安婦」。しかし、これは「反日」日本人が「強制連行」という虚像を作り上げ、「反日」マスコミが拡大し、無責任な「河野談話」によって固定化された、「虚構」に過ぎない。

 

・・・コメントするのもアホらしい。


【関連リンク】

 [1] 「救う会」全国協議会

          http://www.sukuukai.jp/

 

 [2] almより

          http://www1.jca.apc.org/aml/9811/10088.html

 

 [3] Personal Voice No.84 (03' 2/20)

          http://fresheye.oem.melma.com/mag/10/m00066410/a00000058.html

 

 [4] 日本政策研究センター

          http://www3.ocn.ne.jp/~nskc/

 

 [5] 週間ポスト(03' 2/28)

          http://www.weeklypost.com/jp/030314jp/edit/edit_1.html

 


2003年4月29日(火)

[クラスター爆弾 その目的は?]


 4月17日の報道をみて驚いた。1987年度から16年間にわたって防衛庁がクラスター爆弾148億円分、合計数千発分を購入していたというのだ[1]。これについて石破防衛庁長官は18日の答弁で、「敵が侵攻した場合に使うもので他国の住民を非人道的に殺傷する目的での使用を想定していない」と発言した[2]。

これはおかしい。

クラスター爆弾とは、大型の砲弾内に数百個もの子爆弾が詰められた爆弾のことである[3][4]。外側の砲弾が空中で破裂し、中の子爆弾が広範囲に散らばり爆発することで、広い範囲を効果的に攻撃することができるというのが大きな特徴である。しかしその反面、子爆弾のうち、およそ2〜3割が不発弾として残り、対人地雷と同様の被害をもたらす、極めて非人間的な兵器である。

さて、石破長官は、このクラスター爆弾は他国に対して使うものではなく、敵が侵攻してきた場合に使うんだと主張するが、どう考えてもこれは無茶な答弁だ。その理由は2つ。

 

その1

クラスター爆弾が必要なほど広範囲にわたって大量の兵士を日本に送り込むような国がどこにあるのか??

その2

もし仮にクラスター爆弾を使ったとすると、その地域は長期にわたって、不発弾のために地雷原と同様の危険地帯になる。ある地域全体の土地を使い物にならなくするような兵器(しかも数千発!)を、狭い国内で使えるワケがない。

 

クラスター爆弾は、先のアフガニスタン空爆やイラク戦争でも使用されており、早くも「不発弾を手にした子供が指を吹き飛ばされる」などの被害が報告されている[5]。しかしこの兵器が本当に恐ろしいのは、不発弾となった子爆弾が何年も、時には何十年もの間、無差別に人を殺しつづける点だ。その恐ろしさが、昨年のNHK主催教育番組国際コンクールで選ばれたカナダのドキュメンタリー番組、「ボンビーズ 〜クラスター爆弾の悲劇〜」に、あますところなく映し出されている[6]。

ベトナム戦争の最中の1964年から1973年の10年間にかけて、ベトナムに隣接するラオスにアメリカ軍機から大量のクラスター爆弾が投下されたことは、あまり知られていない。当時の不発弾は、投下から40年近く経った今でも、月に1〜2人の割合で地元の人々、とくに不発弾だと知らずに手に取ってしまう子供たちに被害を与え続けている。そして、いまだにラオスの地中で眠っている不発弾は1000万発以上、取り除くには実にあと30年以上もかかるという[6]。
 当然ながら、こうした事実を知りながらアメリカは何もしていない。おそらくこの先何十年にもわたって、こうした光景がアフガニスタンやイラクでもみられるようになると思うと、やりきれない怒りがわいてくる。

 

クラスター爆弾とはこういうものなのだ。それでも石破氏は、クラスター爆弾を日本国内で使うことを想定しているのだろうか? それも数千発も。

 

はっきり言って、狂気の沙汰だ。

 

【関連リンク】

 [1] 「16年間で148億円分 空自のクラスター弾数千発」(03' 4/17 共同通信)

          http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030417-00000196-kyodo-soci

 

 [2] 「<クラスター爆弾>石破防衛庁長官「隠ぺいのつもりはない」(03' 4/18 毎日新聞)

        http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030419-00002107-mai-pol

 

 [3] 用語解説 クラスター爆弾 (毎日新聞)

        http://www.mainichi.co.jp/news/kotoba/ka/20011016_01.html

 

 [4] 用語解説 クラスター爆弾 (Weapons School)

        http://homepage3.nifty.com/weapons/cluster.htm

 

 [5] 「<クラスター爆弾>イラク攻撃で約1500発を使用 米英軍用」(03' 4/26 毎日新聞)

        http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030426-00001027-mai-int

 

 [6] 「Bombies -- Cluster Bombs --」(ITVS, Canada)

        http://www.itvs.org/bombies/bombs.html

            (注意:一部、ショッキングな写真が含まれています)


2003年4月25日(土)

[名古屋刑務所 高圧放水死亡事件の、おかしな展開]


 2001年12月、名古屋刑務所で、男性受刑者(当時四十三歳)が副看守長らから高圧放水を使った暴行を受け、死亡したというニュース、おぼえておられるだろうか。この事件について、検察は豚を使った実験で、高圧放水によって直腸に傷ができることを確認し、当時の副看守らを逮捕・起訴した[1]。「1.5メートルの至近距離から10秒以上もの間、受刑者の肛門に向けて放水し、その間にやにやと笑っていた」、などという具体的な話までとびだした[2]。

私は当時、直腸の傷から細菌が入り死亡したこの受刑者について、「自分で直腸を傷つけた自傷行為が原因だ」と反論した容疑者の副看守長(46)らに対して、なんと白々しいウソをつく人なんだ、と、とてつもなく憤りを感じたことを覚えている。

 

ところが最近、この事件はどうも冤罪の疑いがあるという、小さな新聞記事を目にした[3]。

 

「まさか!そんなことはないだろう」、と思った。正直に言って、「民主党議員が自分の名前を売るために、センセーショナルなことを言ってるのか!?」と、思わずゲスの勘ぐりまでしてしまった。ところがよくよく調べてみるとどうもこの高圧放水事件については、かなりあやふやな点があることが分かった。そもそも検察側がやったという実験の具体的な内容がさっぱり分からないのだ。たとえば4月9日に国会おこなわれた法務委員会での議事録に、民主党の河村たかし議員が、法務省刑事局長の樋渡利秋氏に、実験の具体的な内容を延々と尋ねる部分があるのだが、その樋渡氏の答えを読んでも、場所はどこで、どんな実験をやって、何が分かったのか、といった肝心のところがさっぱり見えてこないのだ。一部を引用してみよう。

 

河村(た)委員 証拠というより、水が本当にそれだけの水圧があったかどうかなんて、わかるでしょう。放水実験をみんなやっておる、これは大前提ですよ、言っておきますけれども。なぜそれを言わないんですか。
 もうちょっと具体的に聞きましょう。
 では、先ほどちょっと言われたけれども、現場でやったんですね。途中まで答えられたから。途中でえらい伝統的な答えに変わってしまったけれども。名古屋刑務所の当該消火栓を使って放水実験をやられたかどうか。それから、で放水実験をしたと言われておるけれども、あれは名古屋拘置所であって、別のところであった。名古屋刑務所と名古屋拘置所は違いますから。別のところであったか。これはどうですか。

樋渡政府参考人 しつこいようでございますが、証拠の具体的な内容は御勘弁願いたいんですが、結果といたしましては、放水実験を依頼いたしまして、一平方センチメートル当たり約〇・六キログラムの水圧であったという結果は得ております。そして、であるかどうかは別といたしましても、そういう実験結果により、直腸内に傷ができるという実験結果を得ております。

河村(た)委員 そんなことなら、言うなよ、悪いけれども、刑事局長、〇・六キロだなんて、どこでやったかも何にもわからないのに。強烈な予断を与えるじゃないですか。どこで何が〇・六キロなんですか、これは。何なんですか、一体。現場で本当のものでやったのか。ある殺人事件が起きたときに、ピストルであったのか、本当のその銃だったのか。それも言っていないのに、法務省、ひどいよ。では、取り消しなさいよ、これは全部。

樋渡政府参考人 誤解を与えたとすれば申しわけございませんが、先生も御存じのあの消火栓にホースをつないだそのものの水圧を技術者に測定してもらった結果でございます。

河村(た)委員 では、そのでやったというのはどちらでやったんですか、今、その場でやられたというのを認められたけれども。でやったという話がありましたが、あれはどこの消火栓でやったんですか。

樋渡政府参考人 したがいまして、それはそこまでいきますと、この当時の具体的な証拠の内容になっていくものでありますから、御勘弁願いたいと思います。

関連リンク[4]より抜粋

 

これを読みながらイライラしてこない人は、よっぽどおおらかな人にちがいない。なんでもっと要点をまとめて要領よく答えらないんだッ!、と、途中で読むのを放っぽりだしたくなるような答弁である。しかもこんな議事録が延々とつづくのである(議事録の全文は関連リンク[4]を参照)。国会を1日開くと人件費や光熱費を含めて2億円がかかるという話を聞いたことがあるが、こんなウダウダとした議論で時間をつぶされたのではたまらない。「この税金泥ボーッ!」と叫びたくなる。

余談はともかく、私はこの議事録[4]の関連しそうな箇所を2回読んでみたのだが、本当に事件に使われたとされる消防用ホースで実験をしたのか、豚を使ったのはどの消防用ホースでの実験なのか、何回実験をやったのか、といった基本的なことがさっぱり見えてこないのだ。

「1.5メートルの至近距離から10秒以上もの間、受刑者の肛門に向けて放水し、その間にやにやと笑っていた」、などと、あきらかにされた犯行状況(とされるもの)の詳細な内容とくらべて、検察が行ったという実験内容の曖昧さはいったい何なんだろう。

犯罪を証明するに足るだけの検証が、ちゃんとおこなわれているのだろうか??

 

 

【関連リンク】

 [1] 「名古屋刑務所の高圧放水死亡事件 地検、実験で裂傷確認 自傷説退ける」(03' 3/27 読売新聞・中部版)

          http://chubu.yomiuri.co.jp/kokoro/keimu030302_1.html

 

 [2] 「にやにや…?と 名古屋刑務所副看守長、至近で高圧放水」(03' 3/5 朝日新聞)

        http://news.goo.ne.jp/news/topics/index/02046/1.html

 

 [3] 「「放水で受刑者死亡ありえない」 民主・河村氏が見解」(04' 4/17 朝日新聞)

          http://news.goo.ne.jp/news/asahi/shakai/20030417/K0016141911031.html

 

 [4] 第156回国会・法務委員会議事録

        http://www.shugiin.go.jp/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/000415620030409006.htm

  


2003年3月31日(土)

["劣化ウラン弾" と "汚い爆弾"]


 イラク戦争でとうとう劣化ウラン弾が使用された[1]。これについて米中央軍のブルックス准将は「われわれが使用しているものは戦闘への使用目的としては安全なもので、これまで考えられてきたような危険性はない」と述べたという[2]。

劣化ウラン弾については、ガンや白血病を引き起こす可能性が指摘されているが、イラク戦争に先立つ3月14日、米軍のJim Naughton大佐とKilpatrick博士がブリーフィングをおこなっているのをみつけた[3]。そのなかでKilpatric博士は、「結論として、そこに暮らす人々、あるいは劣化ウラン弾が使用されたときにその場にいた人々に対して、健康への影響はないだろう(注1)」[3] と述べている。

 

「なんかヘンだぞ?」、と思った。

 

劣化ウランとは、鉛の1.7倍の比重をもつ、ウラン238のことで、これは核兵器としては使えないものだという[4]。しかしこのウラン238、アルカイダをはじめとするテロ組織が "汚い爆弾" として使用するのではないかと恐れ、取り締まりを強化してきたのは、当のアメリカではないか[5][6]。同じ物質なのに、かたや「これは安全です」と言い、「しかしテロリストに渡しては危険だ」などと言う。

あるいはアメリカが使うウラン238は安全だが、アルカイダが使うウラン238は健康被害をもたらす、とでも主張するんだろうか?

 

バカバカしい。

 

(注1)

原文は以下のとおり。(関連リンク[3]より)

And the bottom line is there is going to be no impact on the health of the people in the environment, or people who were there at the time it was shot.

 

【関連リンク】

 [1] 「劣化ウラン弾の使用認める=米軍」(3/27 時事通信)

          http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030327-00000084-jij-int

 

 [2] 「劣化ウラン弾の使用認める 米中央軍」(3/27 共同通信)

        http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030327-00000113-kyodo-int

 

 [3] 米国防総省3/14ブリーフィング内容(英語)

          http://www.defenselink.mil/news/Mar2003/t03142003_t314depu.html

 

 [4] 劣化ウランとは(毎日新聞)

        http://www.mainichi.co.jp/news/kotoba/ra/20021102_01.html

 

 [5] 「タリバンの地下倉庫からウラン押収 タス通信報道」(01' 11/22毎日新聞)

          http://www.mainichi.co.jp/news/selection/archive/200112/22/20011223k0000m030047000c.html

 

 [6] 「アルカイダが汚い爆弾製造か」(1/31共同通信)

        http://news.goo.ne.jp/news/kyodo/kokusai/20030131/20030131ta014.html

 

 


2003年3月29日(土)

[ふたたび、イラク問題について]


 米英によるイラク攻撃を日本が支持する理由として、「日本は北朝鮮問題を抱えていて、アメリカによる抑止力が必要だ、だからアメリカ支持しか選択肢はないんだ」という主張がしばしばされる。一見なかなかウマい理由にみえるせいか、この説を採る人は政治家(某総理経験者や某防衛長官などなど)にも言論人(某軍事評論家や某大学教授など)にも多い。しかしこの主張は、その見かけほどウマい理由ではない。ないどころか、法的にも倫理的にもとうてい許容できない、ただの屁理屈でしかない。

まずは法的な面からみてみよう。

この説を唱えてアメリカ支持をする人たちは、「日米関係が大事だから」「同盟関係が大事だから」支持しなければならない、などと主張する。しかし日米関係の基礎にある、「日米安全保障条約」をみてみると、第一条にこんなことが書かれている。

 
第一条

1. 締約国は、国際連合憲章に定めるところに従い、それぞれが関係することのある国際紛争を平和的手段によつて国際の平和及び安全並びに正義を危うくしないように解決し、並びにそれぞれの国際関係において、武力による威嚇又は武器の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎むことを約束する。

2. 締約国は、他の平和愛好国と共同して、国際の平和及び安全を維持する国際連合の任務が一層効果的に遂行されるように国際連合を強化することに努力する。

 

締約国というのは、いうまでもなくアメリカと日本のこと。つまり第一条・第1項は、日米は国連憲章に従い、国連の目的と両立しない武力行使を慎むことを約束している。また第2項は、日米両国は国際平和のために国連を強化することを努力すると明記している。

いまさら言うまでもないことだが、アメリカのイラク攻撃はこの第1項、第2項に明白に反している。ということは、少なくとも今回のイラク攻撃に関する限り、日本はアメリカの行動を支持する理由はなにもない。

 

次に倫理的な面について。

北朝鮮問題を理由にアメリカを支持するという主張は、言葉をかえると、「日本の安全を保障するうえで、アメリカの行動に反対を唱えるのは国益にならない」、ということだ。でもこれって、もっとぶっちゃけて言うと、「この先アメリカに日本を守ってもらうためならば、イラクの人々がちょっとくらい死んでもかまわない」、ということでしかない。他人の犠牲のうえに自分たちの利益を築くことなど、どう考えても人としてあるべき姿ではない。

 

国際法や条約をねじ曲げ、人として最低限の倫理すらねじ曲げて、ひたすらアメリカに付き従う小泉内閣。イラク攻撃支持の屁理屈を繰りかえすその姿は、滑稽を通りこして、もはやグロテスクだ。

 

【関連リンク】

 中野文庫(儀典と法律の総合情報)

          http://plaza2.mbn.or.jp/~duplex/mokuji.htm (総目次)

          http://duplex.tripod.co.jp/joyaku/js35-6.htm (日米安保条約全文)

 

 アルジャジーラで放送された、誤爆による被害

           http://www.aljazeera.net/news/arabic/2003/3/3-22-26.htm

            (注意:一部、ショッキングな写真が含まれています)


2003年3月19日(水)

[ある "人間の盾" 活動家の死]


 パレスチナ難民キャンプに軍事侵攻するイスラエル軍を阻止するために "人間の盾" として活動していたある女性活動家が、侵攻してきたイスラエル軍のブルドーザーに轢き殺されるというニュースを目にした。

一般市民の住むバグダッドに爆弾を落とそうとするブッシュ大統領といい、パレスチナ人を殺害しつづけるイスラエルのシャロン首相といい、いったいどっちがテロリストなんだと言いたい。

自分たちの主義・主張のために一般市民を殺害することを「テロ」と定義するならば、直接手を汚していないというだけで、この2人こそテロリストではないか。

 

【関連リンク】

(*1) 「ガザ難民キャンプなどにイスラエル軍侵攻、9人死亡」(読売新聞)

            http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030317-00000311-yom-int

 

(*2) "The Electronic Intifada" サイト内より

            http://electronicIntifada.net/v2/article1248.shtml


2003年3月16日(日)

[ふたたび、イラク問題について抗議!]


 今月はじめ、首相官邸のHPから、イラク問題についての私の意見を投稿しましたが、つい先日、小泉総理の「その場の雰囲気」発言に憤りを感じ、昨日、以下の意見を再度首相官邸HPから投書しました。

 

先日の野党党首との会談で、新たな国連決議なしにアメリカがイラク攻撃に踏み切った場合の対応について、小泉首相が「その場の雰囲気で決める」と発言したとの報道を見て、総理のあまりの見識のなさにガッカリしました。
国際法からみて、武力行使が許容されるケースは、(1) 自衛のための武力行使、(2) 国連決議に基づき国連軍がおこなう武力行使 の2つのみであり、これら以外のいかなる武力行使も国際法に反するものであることをご存じないのでしょうか。(この点に関して、川口外相は湾岸戦争当時の国連決議を、今回の武力行使に適用することができるなどと一時期発言しておられました。しかしこれがいかに無理な解釈であるかは、先日アナン国連事務総長の発言からも明らかです)
もし戦争がはじまったならば、イラクの一般市民に多くの犠牲者が出るでしょう。もちろん、アメリカ軍の兵士たちにとっても、命がけの戦闘となるでしょう。小泉首相はこの自明なことが分かっておられるのでしょうか? このような事態に対して、日本として賛成するか反対するかを「その場の雰囲気で決める」程度のことしか考えておられないのでしょうか?

 1年ほど前から、私は小泉総理は、中身のないスローガンしか唱えない人だと感じつづけておりましたが、まさかここまでいい加減な考えのまま政治や外交をやっておられるとは、夢にも思いませんでした。

 はっきり言って、失望しました。

---

埼玉県新座市 ・ 28歳

aga@blue.plala.or.jp

 

当然といえば当然なんだけど、先に投書した意見に対するものも含めて、いまのところ何も返事もありません。というかそれ以前に、ちゃんと読まれているかどうかも怪しいけど。

【関連リンク】
  首相官邸HP
http://www.kantei.go.jp/
 


2003年2月11日(火)

[消費税・奥田プランについて]


 経団連(*1)の奥田会長による消費税引き上げ案が議論を呼んでいる。今年の正月に放送された、建築家の安藤忠夫氏との対談や、各種メディアのインタビューなどで、奥田氏はそのねらいについていろいろと発言している。いわく、「これからの少子高齢化社会を支えるためには、消費税率を引き上げざるを得ない」「そもそも日本の消費税率は、欧米諸国のそれに比べると、かなり低い水準にある」。

日本の消費税率はヨーロッパ各国に比べると相当に低い、だから消費税率を上げるべきだ、というのはよく耳にする議論だ。でもそんな連中にかぎって、「日本の労働時間はヨーロッパ各国に比べると相当に長い、だから労働時間を短縮すべきだ」、とか、「日本の住宅環境はヨーロッパ各国よりも悪い、だから住宅環境を改善すべきだ」、なんてことは絶対に言わない。

さらにいえば、なんでもかんでも一律で課税する日本とは違って、ヨーロッパでは、食品や医療に対しては、消費税率がゼロだったり、軽減されていたりするのが一般的だ(*2)。その結果、税収全体に占める消費税による税収の割合は、日本とヨーロッパであまり変わらないとの試算もある。

経団連のトップならば、もちろんそれくらいは知っているはず。にもかかわらず、こんな一方的なデータだけを出してきて「消費税を16%に」、などと平気な顔して主張する。それってちょっとおかしくない??

 

【関連リンク】
  *1 (社)日本経済団体連合会
http://www.keidanren.or.jp/indexj.html
 
  *2 HIDE's Home Page
http://www.ksky.ne.jp/~hideo/
 


2003年2月6日(木)

[アメリカのイラク攻撃は、国連憲章違反だ]


 昨夜、アメリカのパウエル国務長官が国連で演説をおこなった。イラクが生物・化学兵器などの大量破壊兵器を隠し持っている証拠を提示するためだ。次々と提示される証拠に、「アメリカはここまで知っているのか」と、思わず息をのむ。偵察衛星からの写真、兵器の隠蔽を指示する、なまなましい会話の傍受テープ、などなど(関連リンク *1)。これでイラク攻撃は3月中旬に始まるという見方も出てきた。

また、この演説を期に、日本もアメリカのイラク攻撃への支持に向けて動き出した(関連リンク *2)。おそらく新たな国連決議なしにイラクへの先制攻撃がおこなわれても、日本は支持するのだろう。

しかし、今の状態のままイラク攻撃がおこなわれれば、明白な国連憲章違反だ。たとえば「平和に対する脅威、平和の破壊、及び侵略行為に関する行動」について規定する第7章には、以下のような条文がある(関連リンク *3)。

 

第41条

 安全保障理事会は、その決定を実施するために、兵力の使用を伴わないいかなる措置を使用すべきかを決定することができ、且つ、この措置を適用するように国際連合加盟国に要請することができる。この措置は、経済関係及び鉄道、航海、航空、郵便、電信、無線通信その他の運輸通信の手段の全部又は一部の中断並びに外交関係の断絶を含むことができる。

第42条

 安全保障理事会は、第41条に定める措置では不充分であろうと認め、又は不充分なことが判明したと認めるときは、国際の平和及び安全の維持又は回復に必要な空軍、海軍または陸軍の行動をとることができる。この行動は、国際連合加盟国の空軍、海軍又は陸軍による示威、封鎖その他の行動を含むことができる。

 

要するに、たとえイラクが大量破壊兵器を隠し持っていたとしても、アメリカが国連安全保障理事会での決議を経ずに単独で軍事行動をおこなうことを、第42条は禁じているのだ。

国連憲章を平然と破ろうとするアメリカと、それに対して何も言わないどころか、支持までしようとする日本。実を言えば、日本はイラク問題についてかなり有利な立場にある。日本はアラブ諸国からある程度信頼されているうえに、アメリカとは同盟関係にあり、国連分担金のかなりの部分を負担している・・・つまりイラクとアメリカと国連の三者を交渉のテーブルにつけ得る立場にあるのだ。もちろん、川口外相と小泉総理にそれだけの外交手腕があれば、、、という話だけど。

 

【関連リンク】
  *1 パウエル国務長官による報告詳細(毎日新聞記事)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030206-00001084-mai-int その1
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030206-00001085-mai-int その2
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030206-00001086-mai-int その3
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030206-00001087-mai-int その4
 
  *2 イラク攻撃に対する日本の対応(毎日新聞記事)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030207-00000117-mai-pol
 
  *2 国連広報センター
http://www.unic.or.jp/
 
 

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