■□◆ [ちょぃと斜め読み vol.015] 
□ □
■□■ 02/3/13
                                   http://www1.plala.or.jp/agata
====================================================================
 毎日、ニュースや新聞などをみていて「おや?」と思うことがよくありま
す。そんな、「おやっ??」という記事をとりあげて、時事問題から軟派な
ネタまで、幅広く、かつ鋭く読み解くコラム「ちょぃと斜め読み」。批判・
反論も大歓迎!
====================================================================

■□■ 知られざるオモシロ映画
□ □
■□■ [インド映画の不思議な魅力]

 2年前、イギリスのBBCが「20世紀のスター」の人気投票をインターネ
ットで実施したときのこと。世界中から集まった膨大な投票を集計した結果、
マリリン・モンロー(9位)や、ローレンス・オリビエ(2位)といったハ
リウッドの超大スターをおしのけて堂々1位に輝いたのは、現在60歳ちか
いインド人の映画俳優、アミターブ・バッチャンだったそうな[1]。

 ところでアミターブ・バッチャンって・・・だれ???

 じつは彼、日本では全くといっていいほど知られていないけれども、イン
ドはもちろん、中東からアジアにかけて、彼のことをを知らない人はいない
というくらい、超有名なインド映画の大スターなのだ。70年代に彼が出演
した大ヒット映画 "Sholay(炎)" は、今でも根強い人気があるし、彼の映画
のなかからベストショットだけをよりすぐった "The Best of Amitab" とい
う、そのまんまなタイトルのビデオまであったりする。
 あまり知られてないけど、インドはアメリカを上回る、世界一の映画大国。
インド映画の多くはボンベイで作られているので、ハリウッド(Hollywood)
をもじって、通称ボリウッド(Bollywood)映画と呼ばれている(そういえば、
最近発売された「こうすれば話せる・ヒンディー語」という本に "Bollywood" 
という単語が載っててびっくり!)。
 ボリウッド映画は、インド国内だけでなく、中東からアジアの広い地域で
ハリウッド映画とならんで、あるいはむしろそれ以上に人気がある。
 何億円もするような膨大なカネをかけて作られるハリウッド映画にくらべ
ると、予算面では圧倒的に負けているのに、なぜボリウッド映画がそんなに
人気があるのだろうか。

              ×  ×  ×

 インド映画がハリウッド映画とちがう、いちばんの特徴といえば、なんと
いってもストーリーの途中で突然はじまるダンスシーンです。だいたい主人
公の登場でまず一曲、ヒロインの登場でもまた一曲、で、主人公が彼女に一
目ボレして感情が高まったところでまた一曲・・・てな感じで、とにかく要
所要所に踊りのシーンが出てきます。しかも一本の映画のなかでもインドの
古典舞踊っぽい振り付けもあればヒップホップっぽいのもあったり、「なん
じゃこりゃ!?」というような謎の振り付けまであったりして、けっこう楽
しめます。そういえば "ダンサー・イン・ザ・ダーク" でも、最近公開の 
"ムーランルージュ" でも映画の途中でチョコチョコっと踊るシーンが出て
きてましたが、インド映画のエネルギッシュなダンスシーンと比べたら、も
うぜんぜん話になりません。
 何がそんなにスゴイのか、というと・・・

〔ここがスゴイその1・とんでもない人海戦術〕
 まずなによりも踊りのシーンのスケールがケタはすれなくらいに違います。
考えてみればインドは人件費が安いということもあるのかもしれませんが、
とにかく画面に出てくる人の数がスゴイ!たとえば "Ishq(愛)" では大きな
ターミナル駅を借り切って大勢のポーターさんを引き連れて踊りまくってた
り、"Raju Ban Gaya Gentlmen (ラジュー出世する)" や "Qahar(怒り)" と
いう映画では、まるまる一つの村全体を使って何百人ものエキストラさんた
ちが一斉に踊り出すという、とんでもないことまでやっちゃってます。しか
もそれがまた音楽も明るくて衣装も目が覚めるような鮮やかな色なので、も
うこのシーンを見ただけでも、なんか得した気分になること間違いなし!

〔ここがスゴイその2・どこでも踊る!〕
 2年前に日本でも公開されたインド映画 "Jeans(ジーンズ)" では万里の
長城やエジプトのピラミッドをバックに踊ったかと思えば、エッフェル塔や
ピサの斜塔の前でも踊ったりと、とにかくものすごい力の入れよう(という
かロケ費用のムダ使い??)でしたが、映画によっては「おぃおぃ、そんな
ところで踊るんかいッ!」と思わずツッコミを入れたくなるようなダンスシ
ーンも出てきます。
 たとえば "Dil Se...(心から)" という映画では、走る列車の屋根の上で
主人公といっしょに何十人もの踊り子さんたちが踊ってて、しかもそのまま
鉄橋やらトンネルやらを走り抜けるというムチャクチャなことをやっちゃっ
てますが[2]、それ以外にもオーストラリアでロケをやってハーバーブリッジの
アーチのてっぺんで踊ってしまう "Hindustani(インド人)" (←こんなん、
よく許可が下りたなぁ)、町を走る車のトランクから主人公がヌッと現れて、
歌いながら車の屋根によじのぼってそのまま踊ってしまう "Anjaam(結末)"
(しかもこの間車は走ったまま!)、などなど、とにかく異様なほどエネルギッ
シュ!
 さらに、それに加えてインド映画の楽しさをさらに盛り上げてくれるのが、
ノリのいいお客さんたちです。
 まだまだカラーテレビの普及していないインドでは、色彩と音楽がてんこ
盛りのインド映画は大人から子供まで、とにかくどこへいっても大人気!と
くに人気のある俳優さんが出る映画の公開初日ともなると、映画館の窓口で
はチケットを求める大勢の人たちが殺到して、ついには警察が出てくる騒ぎ
になることも少なくありません。はじまる前からこんな調子だから、いよい
よ映画の上映ともなるともう大変!
 日本だと映画館では黙って静かに見るのが暗黙のルールみたいになってま
すが、インドでは正反対。お客さんたちは映画を見ながら、ヒーローの登場
に拍手をしたり、ヒロインの踊りに口笛を鳴らしたり、悪役(←たいていは
悪人とグルになってる悪徳警官や、低いカーストの民衆をいびる金持ち地主)
に対して罵声をあびせたり、ベタなギャグに手をたたいて大笑いしたりと、
もうとにかくみんな体全体で映画を楽しみます。
 恋愛と友情と家族愛を織り交ぜた物語と、それを引き立てる鮮やかな色彩
の歌と踊り。インド映画のこの至福の3時間は、ハリウッド映画には決して
マネできないでしょう。

 残念ながら日本では、まだまだインド映画の知名度は低いでしが、しかし
そんなインド映画の傑作ひとつが、今年のGWに日本でも公開されます。
2000年度にインド国内で最高の映画賞に輝いた「ミモラ・心のままに」。
(原題は "Hum Dil De Chuke Saanam/私は心をいとしい人にあげた" )
他の国の映画とはひと味もふた味もちがった、インド映画の不思議な魅力を、
ぜひぜひ味わってみてください。

              ×  ×  ×

 この文章は、メールマガジン「A-LINK 〜アジアを旅しよう〜」に筆者が連
載したインド映画関係の記事を1本にまとめ、加筆・訂正をくわえたものです。

  A-LINK 〜アジアを旅しよう〜
      http://www13.u-page.so-net.ne.jp/ra3/naokis/a-link.htm


【筆者注】
[1] Newsweek日本版 2000.3.8 号「インド映画で世界が踊る」より

[2] 「オペラ座の怪人」や「レ・ミゼラブル」で有名なミュージカルの大御
  所、アンドリュー・ロイド・ウェバーは、列車の屋根で踊るこのシーン
  にインスピレーションを獲たとか・・・。本当かなぁ。


【参考HP】

  ミモラ・心のままに
      http://www.gaga.ne.jp/mimora/

  Bergamo's Home Page(ぼりうっ堂)
      http://www.kh.rim.or.jp/~bergamo/index.html
      http://homepage3.nifty.com/bergamo/

  マサラ庵
      http://www.kakutani.com/masala/

  Ueno's Home Page
      http://www2u.biglobe.ne.jp/~uenoh/

  日印ポータルサイト
      http://www.indo.to

  Yahoo! India Movies (英語)
      http://in.movies.yahoo.com/

====================================================================

■□◆
□ □
■□■ [編集後記]

 ここ数週間、テレビも新聞・雑誌も「ムネオ疑惑」一色ですが、この大騒
動の陰に、他の大事な問題がかき消されてしまっていることが気になります。
たとえば狂牛病にまつわる真相究明について「それは酪農家にとって重要な
事か?」などとトンチンカンな発言を繰り返す武部農水大臣の問題、今年も
この時期に日本各地の教育現場で繰り返される国旗・国歌の強制と、反対す
る教職員への処罰という問題、薬害ヤコブ病の真相究明、冤罪の可能性がき
わめて高い「東電OL殺人事件」のネパール人容疑者に対する不当な身柄の
拘束、かけ声だけは威勢がいいのに何ヶ月経っても中身がサッパリ見えてこ
ない、いわゆる"小泉改革"なるもの、などなど。
 しかし "ムネムネ会" なんていうどうしようもない名前の会があるなんて
知らなかったな。。。

====================================================================
 発行時期 :  月刊(毎月第2水曜)
 発行者  :  あがた あきら
 発行ID  :  まぐまぐ(0000054104)
 配信     :  まぐまぐ http://www.magmag.co.jp/ 
 HP    :  http://www1.plala.or.jp/agata
 e-mail  :  aga@blue.plala.or.jp
 登録・解除:  上記URLから可能(配信先変更は登録解除後、新アド
         レスで再登録してください)

 ★感想、質問、意見、苦情…お待ちしています!
                                                aga@blue.plala.or.jp
====================================================================